ブログ:2008年6月 June 2008
2008
06/25
水曜日
施設長レポート「高知探訪」(3/5)
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施設長レポート「高知探訪」(3/5)
〜more treesの森〜
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前回にひきつづき高知2日目。
お世話になったロギールさんのもとを離れ、
梼原町にあるmore treesの森に入りました。
前日のどしゃぶりのせいで、林道は4WD車でもスタックしてしまうほど。
そんな泥道でしたが、この場所では作業道づくりなどの森林整備が行われていて、
今年の秋ころから本格的に間伐が始まることになっているそうです。
今回more treesの森に来たのは「地鎮祭」をするため。
本格的な間伐がはじまる前に、森の神様に許しをもらい、お神酒で清めるために、
more trees事務局長の水谷伸吉氏、賛同人の大住憲生氏と一緒に
この梼原の森にやってきました。
本来、伐採は水分が多い今の季節は行わず、秋から冬の間に行なうのだそうですが、
今回は「斧入れの儀」ということで、地鎮祭のあと水谷氏と大住氏に私を加えた3人で
間伐体験をさせていただきました。
「エイ!」という掛け声に合わせて、神木に3方向から3度斧を振り下ろし、
その後はチェーンソーをつかって一気に伐り倒しました。
間伐は森にとって大切なことではあるのですが、木が伐り倒されるところを
目の当たりにするとなにか心が痛みます。
切捨て間伐の山々を目にしますが、切った木は無駄にせず大切に
利用していきたいものです。

▲梼原町の「more treesの森」

▲「斧入れ」をするmore trees水谷氏
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2008
06/22
日曜日
施設長レポート「高知探訪」(2/5)
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施設長レポート「高知探訪」(2/5)
〜ロギール・アウテンボーガルトさん〜
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高知2日目。
前日からの雨もあがり、前夜から滞在している梼原(ゆすはら)町の
晴れ渡ったきれいな青空から一日がはじまりました。
梼原は雄大な四国カルストに抱かれた自然豊かな山間の小さな町です。
この梼原には知る人ぞ知る紙すき職人、ロギール・アウテンボーガルトさんの
お住まい兼アトリエである梼原和紙&紙漉体験民宿「かみこや」があります。
生まれ育ったオランダで和紙との衝撃的な出会いを経験し、
1980年の来日以来日本の伝統的手すき和紙の世界に生きてきたロギールさん。
伝統の技術をベースにしてオリジナルな創作和紙を次々に発表するなど
ご自身の経営する「かみこや」から梼原和紙を世界に向けて発信しています。
また、伝統の技と文化を伝えるため、地元の小学校での授業をはじめ、
かみこやでの紙すき体験、出前ワークショップとさまざまな活動を展開されています。
その技術と活動が認められ、2007年には「土佐の匠」に選ばれています。
エコプラザでは、エコプラザ・プレスクール2008の一環で6月25日(水)に
ロギールさんをお呼びして紙すき体験のワークショップをしていただきます。
カートカンを原料にして、自分だけのオリジナル和紙をつくることができるこの講座。
この機会にオリジナル和紙づくりに挑戦してみてはいかがでしょう。

▲ロギールさんと奥さんの千賀子さん...素敵なご夫婦です

▲「かみこや」から撮った"雲の上の町"梼原の朝
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2008
06/22
日曜日
施設長レポート「高知探訪」(1/5)
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施設長レポート「高知探訪」(1/5)
〜monacca(モナッカ)〜
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さる6月11日から2泊3日で高知県へ出張に行ってきました。
この出張の目的は、エコプラザで行う「紙すき教室」の講師、
ロギール・アウテンボーガルトさんに会いに行くことと森を見に行くことです。
高知1日目はあいにくの空模様。
どしゃぶりの高知空港をおり、レンタカーで一路、馬路(うまじ)村へと向かいました。
馬路村には杉の間伐材を薄くスライスし、積層にした材でつくった
今話題のバッグ「monacca(モナッカ)」の工場があります。
「monacca(モナッカ)」は株式会社エコアス馬路村さんのヒット商品です。
和のテイストでありながらなにか現代的なデザインのこのバッグは、
北海道洞爺湖サミットで準備事務局にも貸与されます。
間伐の重要性をサミットで広くPRしようと今年の4月から
尾﨑正直高知県知事や高知県選出国会議員らの協力も得て、
外務省のG8準備事務局に働き掛けてきたようです。
工場内部では、杉を0.6mmという薄さにスライスする機械や
何層にも重ねた薄板をプレスする模様などを見学させていただきました。
デザインもかわいいし、素材はエコだし、
しかも、つくっている場所が森を育てている最前線!
この商品はグッドデザイン賞を受賞しているのですが、
ウッドデザイン賞?もさしあげちゃいましょう!!
森へ入る前のほんのつかの間でしたが、
ものづくりの現場に触れる素敵な時間でした。

▲monacca(エコアス馬路村の工場にて)
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2008
06/18
水曜日
エコプラザのご近所さん
2008
06/06
金曜日
毎日新聞で特集されました
2008
06/06
金曜日
6月5日付毎日新聞テキスト
東京都港区「エコプラザ」、毎日新聞とNPO共同運営 「環境人」発信拠点
「市民の環境活動の拠点に」と東京都港区の「区立エコプラザ」が1日、新しく生まれ変わってオープンした。自然と共生する暮らし方から地球規模の問題まで、環境について関心を持ち、考え、行動するための学びと交流、情報発信の場だ。毎日新聞社とNPO法人「アースデイマネー・アソシエーション」の共同事業体「毎日アースデイ株式会社」が運営を担う。【文・明珍美紀、写真・橋本政明】
◇毎日がアースデー
JR浜松町駅北口から徒歩3分。オフィスやマンションが建ち並ぶ都心の空間にガラス張りの建物がお目見えした。小学校の跡地に建設された建物(地上17階)は区の管理住宅で、1~3階がエコプラザだ。中に入ると開放感にあふれ、さわやかな木の香りが漂う。
床や天井、壁面にふんだんに使われている木は、東京都あきる野市の「みなと区民の森」、港区提供=から切り出された間伐材だ。この森は、区が約20ヘクタールの市有林をあきる野市から借り上げて、森林再生事業を実施。地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の吸収にも一役買っている。これら間伐材の塗装には自然素材が用いられている。
「森づくり」「オーガニック」(有機)「CO2フリー」。エコプラザでは、この三つのテーマをもとに、セミナーやワークショップ、イベントなどさまざまなアクションを起こし、「市民がエコライフにかかわるきっかけづくりをしていきたい」と施設長の白鳥芳洋さん(46)は話す。
毎日アースデイ株式会社が運営を担うのは、公共施設の運営などを民間に委託する指定管理者制度にも基づいたもので、公募され、コンペによって選ばれた。委託期間は08年から5年間。社名は文字通り、毎日が地球のことを考えて行動する日、アースデイに、との思いを込めた。
◇大小の木のハコ重ね
広さは延べ1100平方メートルで、施設のメーンは、約350平方メートルに及ぶ多目的フロアだ。普段は、自習ができる「サーチング・ルーム」、実習などに使う「ワーキング・ルーム」、セミナーや研修を行う「ラーニング・ルーム」として使用。仕切りを外せば一つの「木のハコ」となり、エコ関連のイベントなどに活用できる。
壁面はフロアを貫くような大きな棚。ここにも四角い大小の「木のハコ」が天井まで並び、本棚やパネルなど展示物を飾る機能を備える。館内には環境活動を行う区民らが集う会議室もある。
一方、館外には、太陽光や風力の自然エネルギーで明かりを照らすハイブリッド街灯が設置され、メダカやヤゴなどの生き物が生息するビオトープも区民の手で完成した。
「港区には六本木をはじめ、湾岸やお台場など注目のスポットがある。エコロジーに関しても、さまざまな人々がここで出会い、情報を発信する場にしていきたい」と白鳥さん。
◇異業種交流団体「事業者会議」も
東京のなかでも港区は、企業や各種団体の本部機能が集中する。そうした異業種間のネットワークを通じて地球環境やCSR(企業の社会的責任)の実践に取り組んでいるのが「みなと環境にやさしい事業者会議」(mecc)だ。06年春に結成され、現在、72の企業、団体などが参加する。事業者会議の事務局も新エコプラザ内に置かれ、NPO法人「アースデイマネー・アソシエーション」が引き続き、事務局と幹事事業者を務める。2日には事業者会議の活動報告会があり、「地球温暖化と森林」をテーマに日大大学院の小林紀之教授の講演などが行なわれた。
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■メモ
港区立エコプラザは、これまでの虎ノ門の旧鞆絵(ともえ)小学校から、浜松町の旧神明小学校跡地に移転した。
■住所
東京都港区浜松町1の13の1(電話03・5404・7764)。JR浜松町駅北口、都営地下鉄大門駅B1出口から徒歩3分。
■開館日時
午前9時半~午後8時。休館日は毎月第4月曜日(祝日の場合はその翌日)と年末年始。
■当面の日程
6月22日まで=みなと区民の森パネル展▽6月24日~7月12日(7月5、6日除く)=エコプラザ・プレスクール▽7月5日=クリーンアップ大作戦▽7月25日~8月1日=毎日新聞社の水と緑の環境週間(移動支局)など。詳細はホームページ(http://www.eco-plaza.net/)。
(毎日新聞 2008年6月5日 東京朝刊より)
2008
06/01
日曜日
エコプラザオープン記念スペシャルトークライブ「なぜ私たちは森をつくるのか(2/2)」
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エコプラザオープン記念スペシャルトークライブ
「なぜ私たちは森をつくるのか(2/2)」
パネリスト : ワンガリ・マータイさん/宮脇昭さん/安藤忠雄さん
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◇足元からまず行動
斗ケ沢部長) 森はいかなる価値を持つのかをうかがいたい。マータイさんは「グリーンベルト運動」=ことば=で4000万本ほどの木を植えたということだが。
マータイさん) 日本では、空き地に木がないということは、考えられないと思う。国内のどこにでもあり、国土面積の7割ほどが、森に覆われていると聞いている。これに対して、ケニアは、たった2%に過ぎない。
ケニアでは8割の人が自分の土地で食料を得ており、まず地面を木で覆い、土壌を浸食させないことが大切だ。煮炊きや暖を取るために、たきぎを使い、家は木と泥でできているなど、木は重要な役割を果たしている。
木は乾期では飼料にもなり、植樹によって野生動物も集まってくるので、「グリーンベルト運動」では、農家の人もかかわっている。自分が植えた木が土地を実り豊かなものにし、家を建てることもできるのは素晴らしいことだ。森はさまざまな恵みを与えてくれるのだ。しかし、私たちはその恵みを、当然のものと思ってしまっているところがある。日本人が森を愛しているのは素晴らしいこと。感謝の念を持ち続けたい。
斗ケ沢部長) 宮脇さんには、さまざまな企業が協力している。店舗面積を削って植樹するところもある。そうしてまで緑を増やそうと、経済人は考え始めているのか。
宮脇さん) 植樹活動が社会貢献であると思っているのと同時に、先見性を持ってビジネスで優位に立てるのかということも考えている。植樹活動の企業へのメリットを、1年単位で考えるのか、それとも5年、10年といった単位で考えるのか。企業のトップの人たちが理解し始めていると思う。
あなたの会社や家族のために、少し我慢して木を植えることが重要だ。木を植えることは哲学であり、命そのものである。
ケニアで最初に植樹をした時、今までにこにこしていたマータイさんが真顔になって、「(野生動物を観察する観光である)サファリのついでに、植林して自己満足で終わるならお断りしたい。森をつくるまで長く続けてほしい」と話した。私は「分かりました。10年はやりましょう」と応じて始めた。
20年、30年と続けたいと思っている。来年春にもケニアで植樹しますので、この会場のみなさん全員で行きましょう。
斗ケ沢部長) 安藤さんが植樹に積極的にかかわり始めたのは、阪神大震災が契機になっていると推察されるが。
安藤さん) 神戸市の御影というところで仕事をした時のこと。樹齢200年ぐらいのクスノキが3本あり、「神が宿っている木だから、切ってはいけない」と地主に言われたことが強く印象に残っている。木が持つ影響力を思い知らされた。阪神・淡路大震災の後に、多くの建物を手がけた。その時に感じたのは、大きな木が火災を食い止めていたということだ。
また、季節が巡ってくると、被災地に咲いた花が美しく、被災者を癒やしてくれた。「花は人の心を豊かにするものだ」と思い、12万戸あまり建てた復興住宅に、寄付を募ってモクレンなど約30万本の木を植えた。
モノを作るだけでなく、育てていかなければならないと感じた。
もう十数年たったが、地元の知り合いから「モクレン、咲いてるよ」と言われると、ああ役に立ったのかなあとも思う。人々の心の中に残るものなのだろうと思った。東京にだってまだ余地はある。一人一人ができることは小さいが、みんなでやれば大きな力になる。
斗ケ沢部長) 続いて、森が持つ精神的な価値について、うかがいたい。安藤さんはご自身の建築の中にかなり木を取り入れた作品があると思うが、建築における木の役割とは。
安藤さん) 私は建築の教育を全く受けていない。自分なりの方法があるだろうと思い、大阪に近い京都や奈良にある文化財である東大寺や法隆寺などを見て勉強した。これだけ大きい木造建築が、これだけの長い間持つのだなと感動したものだ。
92年にスペイン・セビリアで開かれた万国博覧会の日本館を設計した時、大きな木造の建築物にした。手がけている香川県の直島にある文化村でも、300年ほど前の民家を展示スペースにしている。やはり日本人の遺伝子の中に、しっかりと木の文化が組み込まれているのではないかと思っている。
宮脇さん) 海外のシンポジウムで外国の学者から「日本は4000年来の鎮守の森をわずか100年で失おうとしているのではないか」と言われた。日本人の精神的な柱である鎮守の森は減ってきている。関東大震災では、公園などでは多くの人が亡くなったが、土地本来のシイやカシが茂る鎮守の森では、死者がほとんどいなかったという。エコロジカルな森づくりは、21世紀の公共事業だと思う。都市の中に森をつくることは、命を守ることだ。木を植えることは、明日を植えることでもある。
マータイさん) 木は以前から人々の精神的な支えとして、存在していたと思う。母が私に薪を取ってくるように言った時、同時に「イチジクの木は、神様の木なので取ってはいけない」とも話していた。イチジクの木はすぐそばにあった。一方で、家は高地の斜面にあったので、木は貴重で守らなければならず、神聖化していたのだと思う。そのため、母もそのような表現をしたのだろう。
また、ケニアの最高峰であるケニア山は、森に囲まれ、300以上の川が流れている。人々には、「神が宿っている」と言われていた。
これは非常に示唆に富んだことで、そう言っていた人々は、森が持つ役割など科学的な知識はなかったが、木や自然に対する畏敬(いけい)の念を持っていた。自分たちが森によって生かされていることを実感していたからだ。
元々、人間は、自然に感謝して暮らしてきた。しかし、いつしか自然への畏敬の念を忘れ、木々を伐採し、環境を破壊していった。地球は温暖化で人間に反撃しているように思えるのだ。私たちは、自然の恵みや知恵を再発見する必要がある。
斗ケ沢部長) 森づくりの国際協力を、どのように進めていくべきか。今後、どのような活動をしていくのか。
宮脇さん) 今、一番大切なのは、熱帯林と都市の森をどうするかだ。議論だけをする時は終わった。東南アジアやブラジル、そしてケニアなどで、まず木を植えることだ。皆さんの足元から何本かずつでも植えていってほしい。ともに頑張りましょう。よろしくお願いします。
安藤さん) 兵庫県では小学校の近くに木を植える運動をしている。子供たちが木を育て、時間がたつと、森の中に学校があるということになる。卒業しても、そこに木がある。それが人と森につながることになるのだ。
マータイさん) 私たちは、すでに木を植える国際協力に参加しているのだと思う。
「MOTTAINAI」運動の一環として商品化されたものの一部が、「グリーンベルト運動」の資金となり、私たちが、ケニアに木を植えている。これらの運動に参加してもらうことで、大勢の人たちが、木を植える運動につながっているのだ。
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□■ことば■□
※グリーンベルト運動
マータイさんが米国留学から帰国後の77年から始めた植樹活動。04年にアフリカ人女性として初のノーベル平和賞を受賞した理由の柱の一つとなった。大規模ダムなど開発のために進む祖国の自然破壊と、その開発の恩恵を受けない庶民の姿が活動のきっかけとなった。農村での森林の回復を目的に、ケニアで7本の苗木を植えて始まったこの活動は、現在はアフリカ各地に広がり、植樹した数は4000万本にもなる。また、活動を通じて、女性の地位向上に寄与したほか、地域の連帯感も醸成することとなり、民族対立の激しい地域の融和にも大きく貢献している。
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(毎日新聞 2008年6月5日 東京朝刊より 文:佐藤岳幸(文) 写真:橋本政明)
2008
06/01
日曜日
エコプラザオープン記念スペシャルトークライブ「なぜ私たちは森をつくるのか(1/2)」
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エコプラザオープン記念スペシャルトークライブ
「なぜ私たちは森をつくるのか(1/2)」
パネリスト : ワンガリ・マータイさん/宮脇昭さん/安藤忠雄さん
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◇木を植える、命を育てる
地球温暖化防止のため、地域の活動や情報発信の拠点となる環境学習施設「港区立エコプラザ」(東京都港区)のオープンを記念したトークライブ「なぜ私たちは森をつくるのか」(主催・毎日アースデイ、協力・毎日新聞社)が5月31日、木の香ただよう新築の同プラザで開かれた。パネリストは、いずれも森づくりに深くかかわり、世界的に活躍している豪華な3人の顔ぶれとなった。ノーベル平和賞受賞のワンガリ・マータイさん(68)、横浜国立大学名誉教授の宮脇昭さん(80)、建築家の安藤忠雄さん(66)。森が持つ物質的、精神的な役割など、経験に基づいた示唆に富む内容となった。(コーディネーターは、斗ケ沢秀俊・東京本社科学環境部長)
◇本物を世界に広げる---宮脇さん
◇温暖化は地球の反撃---マータイさん
◇みんなでやれば力に---安藤さん
武井雅昭・港区長) エコプラザのこけら落としにふさわしい素晴らしいゲストをお迎えすることができた。04年に環境保護活動などでアフリカ人女性で初めてノーベル平和賞を受賞されたワンガリ・マータイさん、世界的な建築家として有名な安藤忠雄さん、植樹活動を続ける生態学者として知られる宮脇昭さん。3人の華々しい経歴についてはご存じと思うが、共通しているのは、木を植える人だということだ。今日は「なぜ私たちは森をつくるのか」と題して、エコプラザのテーマである木を植えること、森づくりを巡って貴重なお話を伺いたいと思う。
斗ケ沢秀俊・科学環境部長) マータイさんは、「グリーンベルト運動」を長くケニアでされて、ノーベル平和賞を受賞された。宮脇さんは、その土地にあった木を植えるという考えで各地で植樹を続けてこられた。安藤さんは、瀬戸内や東京都内での植林活動に積極的にかかわっていらっしゃる。森をつくることに関して、深くかかわっていらっしゃる方々に、なぜ私たちが森をつくる必要があるのかについて、このパネルディスカッションを通じて、明らかにしていきたい。まずご自身の活動について、報告していただきたい。
マータイさん) みなさんにお目にかかれてうれしい。私たちはみな木を愛している。木とともに生きてきた。アフリカで薪を集めていた時のことを思い返している。小さい時から私は木に親しんでいた。木があって、雨が降り、川が流れる。私たちは当たり前と思ってしまうが、森がなければならない。
「グリーンベルト運動」を始めたころ、同じ地域に住んでいた女性と、木や森の必要性を話し合っていた。私たちは素晴らしい森の中に育ったが、失われてきている。それで木を植えようという話をした。土壌を守り、雨水をためるために必要と考えた。これまで30年取り組んできたが、森はそれ以上の役割を果たすことに気付かされた。生物多様性を保つことや二酸化炭素を固定し、大気を正常な状態に維持してくれるなど、私たちの命に大切な役割を果たしてくれることに思い至った。
木なくしてはこの地球に存在しない。なぜ、木を植えるのかということにはたくさんの答えがあるが、強調したいのは、木は私たちが生きていくために不可欠だということだ。私は森で3R(リデュース、リユース、リサイクル)の概念を見つけた。また、感謝の気持ちである「MOTTAINAI」の精神を、木や森に対して思うようになった。
宮脇さん) マータイさんが言う通り、木を植えることは単なる小手先のものでなく、命を植えることなのだということだ。私は岡山の農家の四男坊として生まれ、雑草に苦労した経験から学者になった。恩師となるドイツのラインホルト・チュクセン教授(植物社会学)に認められ、1958年から留学した。
2年あまりの留学から帰国して調べると、その土地の木があまりにも少ないので、本来の森を回復しようと思った。当時は相手にされなかったが、今は先見性を持った企業や自治体が協力してくれている。
また地球の生態系の基本ともいえる熱帯林での植林もボルネオなどで始めていたが、アフリカには、つてがなかった。その時、毎日新聞がマータイさんを招いてくれた。初めて会い、どのような人かと思ったが、30年来の友人のように分かり合え、4回、植林することができた。真っ赤な土の中で植林をして、命を守る大切さを実感した。
土地本来の木を混植・密植した健全な状態で植えることが大切だ。マータイさんが言われたように本来の森を取り戻すことが大切。本物の森づくりを日本からアジア、アフリカに、そして世界に広げていきたい。本物は長く続くものだ。私があと30年続けるとなると、安藤先生は、もっと長く生きていなければならないが(笑い)。
安藤さん) 建築家であり、ハコ作りをしている。マータイさんも宮脇先生も、本気で森づくりに取り組んでいらっしゃる。「同席するのはまずいのでは」と最初は断ったが、どうしてもと言われ出席した。宮脇先生はアマゾンにまで出かけて、植林している。それはただ木を植えているということだけでなく、地球は一つなんだという強い思いから、日本やアジア、アフリカにまで活動している。「地球号」として存続させることを考えていらっしゃる。
地球の生態系を破壊しているのは人間だ。100年前の十数億人であった人口が、今は67億人で、2050年には90億人になろうとしている。よほど地球のことを考えていかないと、人類は生かしてもらえないというぎりぎりの状況になっているのに、依然としてのんきに生きている。宮脇先生やマータイさんは「もっと考えろ」と警鐘を鳴らしているのだと思う。
私は東京・青山の「同潤会アパート」の建て替えにかかわった。「表参道ヒルズ」というが、そこには18メートルぐらいのけやき並木がずっとある。「あのけやき並木よりも低い建物にするならやらせてもらう」と言った。おおよそ5階建て(一部6階)の建物にしたが、建物は経済効率を考えると、容積率いっぱいにしなければならない。皆に「もっと上に乗せろ。何を考えている」などと言われた。そこで私は「私たちはもっと、けやき並木に尊敬の念を持たなければならないのではないか」と主張して通した。
六本木ヒルズにある、三宅一生さんが運営する美術館「2121デザインサイト」(東京都港区)は地上1階地下1階だ。木が育つとすっぽりと隠れるようにしたのだ。お台場の向こうに「海の森公園」=ことば=というのがある。埋め立て地に木を植えようと、都知事の石原慎太郎さんに「10年後には立派な森になりますよ」と言ったら、彼は「おもしろい」と言っていた。私が手がけた新しい渋谷の地下駅は電車の風と外気から来る風を利用し、二酸化炭素をなるべく排出しないようにしている。そういう小さなことを積み重ね、ハコづくりから森づくりにも貢献したいと思っている。
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□■ことば■□
※海の森公園
東京都が東京湾に建設中の海上公園。23区から排出された1230万トンのごみが埋め立てられた中央防波堤内側埋立地約88ヘクタールを森に変え、海から都心に吹き抜ける「風の道」の基点としようという事業。07年7月から植樹が始まり、今年度は9000本を植える予定。募金も呼びかけている。
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(毎日新聞 2008年6月5日 東京朝刊より 文:佐藤岳幸(文) 写真:橋本政明)
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